発話訓練のメリットとデメリット【吃音症の不思議】
きつ音の訓練や治療法に「発話訓練(はつわくんれん)」があります。
これは「練習をして、できるだけスムーズに話せるようになる」もの。
発話訓練のよいところは即効性です。数回で、どもらずに話せるようになります。しかし、その効果が長続きしません。
なぜなら自分一人で練習しているときは、どもらず話せるのに、学校での音読や発表といった日常生活ではどもってしまうのです。
本人は一生懸命練習してきたのに、本番で言葉が詰まってしまう。これほど、つらいものはありません。
それなのに先生からは「ちゃんと練習してきなさい」と注意され、友達からは「しっかり読めよ」と言われたら、悲しくならないほうが不思議です。
その想いは「次もまた上手に読めないのではないか」「詰まってしまったらどうしよう」という不安や焦り、情けなさに変わります。
上手に読もうとしてあせる、読めなくて悲しい、恥ずかしい、悔しい、つらい、情けない。泣きたくなる。
「こんなに練習しているのに、どうして言葉がつまってしまうんだ。これ以上、どうしたらいいのだろう」と悩んで、また深く深く考えてしまうのです。
自分の意思ではどうにもならない、きつ音症。
本来であれば友達との楽しいおしゃべりや意見交換が苦痛に変わってしまう。やりたいことがあっても我慢したり、あきらめてしまう。消極的になり内向的になり、一人でいたほうが楽になってしまう。
そのことが、きつ音症の一番の問題です。